もともとビジネス用語である「Win-Win(ウィンウィン)」。
今では日常生活でも広く使われるようになっているように、プライベートの恋愛関係や夫婦関係、友人関係、親子関係、どんな間柄でも「お互いがWin-Win(ウィンウィン)の関係」となるのが理想ですよね。
ただし、ビジネス用語としてのWin-Win(ウィンウィン)と人間関係におけるWin-Win(ウィンウィン)は考え方が異なるので注意が必要です。
というのも、ビジネスはあくまで金銭的な利益が目的ですが、一方の人間関係におけるウィンウィン(Win-Win)の関係はお金が目的というわけではありません。
お互いの利益は当然として、精神的な満足や成長、幸福といった感情を同時に得るような、そんな「相乗効果」を目指すものだからです。
むしろ、ビジネスにおいても後者のウィンウィン(Win-Win)の考え方や姿勢が重要になってきます。
この記事では、そんな「Win-Win(ウィンウィン)の関係」について、「ウィンウィン(Win-Win)」の内容や事例を解説し、以下の2つの考え方や目指すべき姿を紹介したいと思います。
- ビジネスにおけるウィンウィンの考え方
- 人間関係におけるウィンウィンの考え方
ウィンウィン(Win-Win)とは
まずは「ウィンウィン(Win-Win)」の一般的な解説(おさらい)をした後、
- ビジネスにおけるウィンウィン
- 人間関係におけるウィンウィン
の両者について考え方を紹介します。
ウィンウィン(Win-Win)の意味
ウィンウィン(Win-Win)の語源は、英語の”Win-Win”。
意味は「自分も勝って、相手も勝つ」ということです。
もともと経済用語のひとつで、これがビジネス用語の「ウィンウィン(Win-Win)」。
「ウィンウィン(Win-Win)」を使った例文
下記は「ウィンウィン(Win-Win)」を使った簡単な例文です。
「御社と我が社の双方にメリットがあるのでお互いウィンウィン(Win-Win)です」
このように「ウィンウィン(Win-Win)」という単語だけで使用することもありますが、
- 「Win-Win(ウィンウィン)な状態」
- 「Win-Win(ウィンウィン)の関係」
- 「Win-Win(ウィンウィン)な関係」
といった使い方をすることが多いですね。
英語でも”Win-Win situation”や”Win-Win relationship”という言い方になります。
そもそも、Win(勝つ)とは何か?という解釈によってWin-Winの意味は大きく異なります。
冒頭で説明しましたように、ビジネスだけにとどまらず人間関係におけるもっと根源的な「ウィンウィン(Win-Win)」の考え方があります。
それでは「ウィンウィン(Win-Win)」がどういったものか2つの考え方をそれぞれ説明していきます。
❶ ビジネスにおけるウィンウィン(Win-Win)とは
ビジネス用語として使われる「Win-Win(ウィンウィン)」は、ビジネスの場でお互いが利益を得る関係のこと。
取引が行われる際、交渉をしている双方が利益を得られるようになるという状態を「Win-Winな関係」と表現します。
この場合の「Win-Win(ウィンウィン)」はとてもシンプル。
例えば、良い商品というのは、消費者は支払った金額以上のものを手に入れたことになり、たくさん売れることで販売者は儲かる、といった具合です。
ウィンウィン(Win-Win)の言い換え
ビジネス用語としてのウィンウィンは、下記のような言葉と言い換えられると紹介されています。
- 持ちつ持たれつの仲
- 共存関係
- ギブアンドテイク
❷ 人間関係におけるウィンウィン(Win-Win)とは
次は、人間関係における「Win-Win(ウィンウィン)な関係」です。
この考え方で有名なのは「当事者意識を持つには? 主体的に生きるための習慣とおすすめ書籍」という記事でも紹介している名著「7つの習慣」にて、著者のスティーブン・R・コヴィー氏によって提唱されているものです。
「Win-Win」があるのだから「Win-Lose」や「Lose-Lose」といった6パターンがあります。
- Win-Win(ウィン-ウィン):自分も勝ち、相手も勝つ
- Win-Lose(ウィン-ルーズ):自分が勝ち、相手は負ける
- Lose-Win(ルーズ-ウィン):自分が負けて、相手が勝つ
- Lose-Lose(ルーズ-ルーズ):自分も負けて、相手も負ける
- Win(ウィン):自分が勝つ
- Win-Win or Not Deal(ウィンウィンor ノットディール):自分も勝ち相手も勝つ、それが無理なら取引しないことに合意する
何かを決めるときも、問題を解決するときも、まずお互いの利益になり、お互いに満足できる結果を目指すのが原理原則。
ただし、自分と相手とでは、価値観も目的も明らかに正反対な場合は、取引しない(not deal)ということも提案されています。
ここでいう「利益」とは、単に金銭などの物理的な利益だけを指すのではなく、精神的な効果を含んでいるということがポイントです。
ウィンウィン(Win-Win)の事例と3つのポイント
ここからはWin-Win(ウィン-ウィン)の関係を実現するためのポイントを3つ紹介します。
- 相手にとっての利益とは何かを考えること
- 自分を取り巻く全ての関係を「相手」と捉えて「三方良し」を考えること
- お互いの関係を取り引きや駆け引きとして捉えないこと
ポイント❶ 相手にとっての利益とは何かを考えること
ビジネスのWin-Winは金銭的な利益を考えればよかったのですが、人間関係におけるWin-Winでは精神的な効果や、それぞれが相互作用しあって生まれる効果など、利益をとても広範囲に捉えて考える必要があります。
精神的効果とは、幸福感や満足感、成長感などのことです。また金銭面であっても、将来の不安感の払拭や精神的なゆとり、余裕につながることもあります。
ポイント❷ 自分を取り巻く全ての関係を「相手」として「三方良し」を考えること
「自分」と「相手」というのは2者の人間同士の関係だけではありません。
何事においても当事者という視点に立てば、あらゆる関係を「自分」と「相手」として見ることができるものです。
実は、2者間だけという狭い範囲でウィンウィン(Win-Win)の関係を考えても、全体で見るとお互いがLose-Loseの関係になっているということもあります。
わかりやすい例は、芸能界でも度々取り上げられる「不倫関係」です。
不倫関係の当事者間(2者間)は、お互いが自分にとって都合の良い存在だったわけですよね。
このように、自分にとって都合が良く、相手にとっても都合が良いから「ウィンウィン(Win-Win)の関係」だと考えてしまうのは間違いです!
家族にとって何一つ良いことはありませんし、結局は自分のためにもなっていませんよね。
芸能人の不倫報道を側から見れば「なんで不倫なんてしたんだろう?」と思うものですが、これは当の本人が家族やスポンサーとの関係における当事者であるという意識が欠如していた(もしくは希薄だった)と考えられます。
「当事者意識」というのはウィンウィン(Win-Win)の関係を考える上でベースとなりますので、ぜひ「当事者意識を持つには? 主体的に生きるための習慣とおすすめ書籍」という記事も参考にしてみてください。
全ての関係を満足することはできないかもしれませんが、あらゆる人間関係において、その当事者としてお互いの利益になる結果を見つけようと考えることが大事です。
このような考え方は、実は日本人が持っている精神でもあり、昔から商業理念として「三方良し」という言葉があります。
「三方良し」とは「Win-Win-Win(ウィン-ウィン-ウィン)」のこと
「三方良し」は商売をする自分と相手の関係に加え、「世間良し」という考えをもつということで、「Win-Win-Win(ウィン-ウィン-ウィン)」、「Total Win」とも言い換えられます。
今回は、ウィンウィン(Win-Win)の関係を考える際の代表的な3パターンを紹介したいと思います。
パターン1.自分と相手という1対1の関係に対してウィンウィン(Win-Win)を考える
まずは、一番基本となる関係ですね。
自分という存在に相対する存在との関係です。
- プライベートであれば自分と配偶者、または自分と恋人
- ビジネスであれば自社と取引先
といった具体に考えることができると思います。
事例として、「細かいことを管理できないおおざっぱでずぼらの夫」と「心配性で細かいことが気になる妻」の夫婦がいたとします。
互いに要求を主張しあうだけでは解決されることはなく、かといって、どちらか一方が我慢するというのも生産的ではありません。
一見すると相性が悪い関係のようですが、もしお互いが「シンプルでミニマルな暮らし」という価値観を共有したら、どうでしょう?(ちなみに、我が家のケースです。)
些末なことには時間をかけず、大事だと思えることに注力できるようになります。
そして、お互いは自身の強みを活かし、相手の欠点を補いつつ同じ方向に向かって相乗効果を生むことができますね。
ちなみに、「星の王子さま」の著者で有名なフランスの作家サン=テグジュペリの名言に次のような言葉があります。
愛はお互いを見つめ合うことではなく、ともに同じ方向を見つめることである。
Love does not consist in gazing at each other, but in looking together in the same direction.
サン=テクジュペリ著:「人間の土地」より
双方が一緒に歩む道が「どこに向かっていくのか」を意識するのが重要かなと思います。
パターン2.自分と自分が所属する集団に対してWin-Win(ウィンウィン)を考える
自分と相手という1対1である必要はありませんし、対立する関係でなくても考えられます。
自分が何かに属していると考えてみると良いでしょう。
自分と家族の関係
配偶者を相手と見れば1対1の関係ですが、相手を「配偶者を含めた家族」とすれば、1対多の関係になります。
また、家族には自分も含んでいるものとしても考えられますよね。
先ほどの夫婦の事例でいえば、「子育て」に関しても同じ考え方ができるでしょう。
自分と勤め先との関係
ビジネス上の自社と取引先だけではなく、雇用する側と雇用される側という見方もあります。
また、家族と同様に、自分が所属している部署や企業そのものと自分の関係としてみることもできます。
自分と取り巻く環境の関係
自分と地球環境、自分と世界経済、自分と社会など、自分よりもっとずっと大きな相手との関係についてWinWinを考えれば、きっとその行いについて大義を感じることができるはずです。
パターンその3.自分自身の中にあるウィン-ウィン(Win-Win)の関係
例えば、仕事とプライベートの関係など、これは人間関係そのものではありませんが、自分の中にもWin-Winの関係を見出すことができます。
以上のように視野を広くあらゆる関係を多面的に捉えてみれば見える世界も変わってくるでしょう。
ポイント❸:お互いの関係を取引や駆け引きとして捉えないこと
冒頭でウィンウィン(Win-Win)は、もともとは経済用語であると紹介しましたが、人間関係においてウィンウィン(Win-Win)は勝ち負けや損得ではありません。
くどいようですが、ウィンウィン(Win-Win)はお互いが相手のことを想って行動するという考え方・姿勢です。
何かをしてくれたからお返しをするという考え方では、本当のウィンウィン(Win-Win)の関係にはならないのです。
人間関係の前提を取引として見てしまっていませんか?こんな「言葉」に注意しましょう
何気なく使っている言葉の中に、人間関係を取引として見なしてしまっているような使い方があります。例えば、「借りができたね」「今度、埋め合わせするね」といった言葉使いです。
受けた恩に対して無礼がないようにという気持ちの表れともいえますが、これらは、人間関係の前提を取引として見た言葉「ギブ&テイク」という発想です。
人間関係を取引として見るというのは人間として居心地悪く感じるもの。相手の好意として素直に受け取り、経済や取引とは無関係のものとしたいものです。
目指す姿は「ギブ&ギブ」です。
ウィンウィン(Win-Win)を学ぶのにおすすめの本
今回はウィンウィン(Win-Win)の関係を考える観点を紹介しましたが、実際にウィンウィン(Win-Win)となるよう日々実践するのは自分自身。
そして実践していていく時々で迷ったり行動を振り返ったりするときに参考になるのが「本」。
そんなウィンウィン(Win-Win)を学ぶ上で参考になる書籍を紹介したいと思います。
「7つの習慣」(スティーブン・R・コヴィー)
今回記載している内容を踏まえて本当に参考になるのが、冒頭でも紹介している「7つの習慣」という本。
もはやビジネス書としてド定番ですので「今さら?」と思う方や、随分前に読んだという方もいらっしゃるかもしれません。
筆者も20代の新卒社会人の頃に1度読んではいましたが、当時はいわゆる「ビジネス書」として読んでいました。
ただ、家庭や子供を持つようになると、ライフスタイルや人生観そのものが変わってくるタイミングになってきます。
そうなると出世したりビジネスで成功することだけが目的ではなく、自分や家族、仲間の幸福とは?働く意味とは?人生の意義とは?といった難しい問題に自分なりの考えを持って生きていく必要があります。
このような観点で「7つの習慣」を読めば、ウィンウィン(Win-Win)についても単に資本主義社会における成功法について記載された本ではないということがわかると思います。
改めて自分(自分の人生)はどうあるべきかを見直すきっかけにもなると思いますので、今一度手にとってみてもらいたい一冊です!
個人的には紙の本が好きなのですが、この本に関しては560ページもあり厚さ4cmくらいあります。ちょっと根気が要りますよね。。
過去に一度読んだことがある方や、これから読んでみようという方は「13歳から分かる! 7つの習慣 自分を変えるレッスン」がおすすめです。
「人を動かす」(デール・カーネギー)
次に紹介する「人を動かす」(デール・カーネギー著)もビジネス書としてあまりにも有名ですね。
タイトルからは「自分の思うように相手をコントロールする」ような方法を想像しますが、中身は全く逆です。
相手に関心を寄せ、真に望むことをこちらが提供できれば「Win-Win」の効果が得られるという実例集のようなものです。
7つの習慣とは違って文庫本サイズで内容も読みやすいので、併せて読んでもらいたい一冊です。
まとめ
「Win-Win」には大きく2つの使われ方があります。
- ビジネスにおけるウィンウィンの考え方
- 人間関係におけるウィンウィンの考え方
特に今の時代は「仕事」でも「プライベート」でも後者の考え方が重要です。
その考え方を学べる書籍として「7つの習慣」を紹介しました。
ただし、ウィンウィン(Win-Win)とは何かを知っているだけでは意味がありません。
本当にWin-Winの関係を築くためには「日々実践あるのみ」です。紹介した本はそのきっかけになるはずです。
ぜひ実践してみましょう。