社会人にとって、成果を出すためには適切な目標設定が重要です。
目標が定まるとそれを達成するために”誰が”、”何を”、”いつまでに”、”どのように”やるかという手段が明確になるため。
ところが、
手段が目的と入れ替わってしまう
という経験をすることが多いのが実情ではないでしょうか?
その理由は、目標や手段が具体的であるのに対し、目的があいまいな為です。
手段が目的となってしまっては、例え目標を達成できたところで意味がありませんよね。
そこで今回は、目的と目標の違いについて解説し、目的を叶えるための適切な目標の設定の方法について紹介します。
ビジネスに限らず、人生観が変わってくるほど大事なことですので、ぜひ参考にしてもらえればと思います。
目的と目標の違いとは
まず、目的と目標の違いを大まかに解説し、その上で、陥りやすい問題と対策について紹介していきます。
目的と目標とは
目的と目標のよくある説明は次の通りです。
- 目的は、最終的な到達点
- 目標は、目的を達成するための過程として設定するもの
また、目的は長期的、目標は短期的などと解説されることも多いです。
目的と目標の簡単な例
ダイエットでいえば、
- 目的…スリムな体型になる
- 目標…1ヶ月で体重5kg減量
言葉の定義や説明としては以上ですが、これだけ覚えたところではあまり有益ではありません。
本当の目的とは
本来の目的とは、”そうありたいと思う理由”です。
特に、誰かに指示されたから、世の中的にこうだと決まっているから、ではなく主体性を伴ったものです。
先ほどのダイエットの例でいえば、若々しく健康的でありたいとか、ファッションを楽しみたいといった理想や願望であり、各個人ごとに異なるでしょう。
本当の目的がわかれば、体重を減量することだけがその目的を達成する目標や手段ではないはずです。
ですが、後述する通り、目的は意外とあいまいなままなことが多いです。
AI分析でわかった トップ5%社員の習慣という本で最初に紹介される五原則の一つ目が『目的のことだけを考える』です。
それだけ目的は重要ですが、あいまいなままになりがちなのです。
適切な目標設定とは
目標は最終的な目的を叶えるために必要な行動を定めることです。
目標は具体的かつ定量的に設定します。
- 誰が(Who)
- 何を(What)
- いつまでに(When)
- どうやって(How)
これが決まってしまえば、やること(手段)は明確になります。
ここで重要となるのも目的です。
目標を設定する理由は、目的を叶えるため、です。
この目標設定が適切なものかどうかは、目標が目的を叶えるものになっているかどうかで判断できます。
手段が目的化する理由と対策
目的と目標(手段)は理解していても、現実社会ではしばしば、手段が目的化します。
その理由は、目標と手段は明確なのに対し、目的はあいまいなためと先述しました。
目的があいまいな理由
もう少し丁寧に説明すると、目的は主体性を持った理由であると解説した通り、関係するそれぞれの人の立場によって変わってしまうものだからです。
例えば、企業にとっては利益を上げることが目的となりますが、組織としては人材育成とか、個人的には評価ややりがいといった目的も介在します。
そうなると、目的はどんどんあいまいになりますが、目標と手段は決めてしまえば明確です。
わかりやすい営業目標として、売り上げ前年比10%アップという目標があったとしましょう。
この場合、なぜ10%なのでしょうか?
ありがちなのは、わかりやすいから、とか前年度を踏襲(過去ずっと同じ)というものです。
そして、前年は8%で2%未達だったから、あと2%向上できそうな手段を今年の重点施策とする、となればもう手段が目的化したようなものでしょう。
目的に対する狙いを定める
手段が目的化せず、本来の目的を見失わないようにするには、狙いを設けることが良いです。
狙いは、さしあたっての目標と説明されることもありますが、具体的な目標や手段によって得られる効果を抽象化したものです。
目標や手段は論理的に、網羅的に洗い出していけばよかったりしますが、ひっくるめて何を得ようとしているのか、抽象的に言い表したものが狙いです。
具体的な目標に対する打ち手が手段であるように、目的に対応するのが狙いをいう風に捉えるとわかりやすいでしょう。
ダイエットの例では
- 目的:若々しく健康的な体(抽象的)
- 目標:1ヶ月で体重5kg減量(具体的)
- 手段:毎日30分程度の運動とタンパク質メインの食事(具体的)
- 狙い:筋力アップによる基礎代謝の向上と摂取カロリーの抑制(抽象的)
このように目的、目標、手段、狙いが揃っているとストーリーが感じられるのではないでしょうか?
狙いを設けることで、具体的な目標や手段によって得られる効果が目的を叶えるものになっているか判断できるようになっています。
上司やリーダー、親は目標ではなくビジョンを提示する
高い目標を設定することで成果が上がることがあります。
高いハードルがあると士気が上がったり、例え目標を到達できなくてももともとの目標レベルには到達できる可能性が高まるためです。
しかし、高い目標を設定し続けるのは無理がありますし、持続性はありません。
それよりも、大義などのビジョンを示してあげることで、皆が同じ方向を向かって取り組むことができます。
大義やビジョンとは、目的とそれを叶えるストーリーです。
目標や手段というやることを決めるのではなく、それぞれが当事者となってそれぞれの役割を果たそうとするチームの方が中長期的に成果が上がり、成長します。
個人的な狙いを設ける
組織に所属していると、手段すらも決まっている場合が多いです。
ただ、決められたことだからと意味もわからず取り組むのではなく、自分なりの狙いを定めてみましょう。
そうすれば、組織としては手段が目的と化してしまっていても、個人として取り組む意味を見出すことができるでしょう。
さいごに
今回はビジネスにおける目的と目標の違いを紹介しましたが、仕事に限らずプライベートだって同じことです。
目的、目標、手段、狙い、これらを意識すると今取り組んでいる仕事の目的、そして、働く目的、生きる目的など、自分の人生のストーリーが見えてくるのではないでしょうか。