【ナッシュ均衡とは?】ゲーム理論を学んで現状を打破しよう!

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「最善の手を尽くしてがんばっているのに一向に状況が改善されない!」なんていう経験はよくありますよね。

世の中の政治や環境問題なんかを見ても『うまくいっているとは到底思えない出来事』は多々ありますが、それぞれの立場を考えると最善を尽くそうと努力しているものです。

では、なぜ最善の手をつくしても状況が良くならないのでしょうか?

実はこれ、「ナッシュ均衡」という概念によって説明ができたりします。

ナッシュ均衡は「ゲーム理論」という理論経済学の一つの概念。

このナッシュ均衡とはどういう状態かを理解すれば「なぜうまくいかないのか?」のヒントを得ることができるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、「ナッシュ均衡とは何か?」を現実で起こっている身近な事例を使って紹介し、上手くいかない現状を打破するためのポイントについて紹介したいと思います。

ナッシュ均衡の身近な事例
  • 残業問題
  • 買い占め問題
目次

ナッシュ均衡とは「ゲーム理論」における概念のこと

ナッシュ均衡とは

ナッシュ均衡は、ジョン・フォーブス・ナッシュというノーベル賞を受賞した数学者が生み出した概念です。

「ゲーム理論」という理論経済学の分野で発展したわけですが、今ではビジネスや社会問題を説明することに応用されていたり、AI(人工知能)にも使われていたりします。

「ナッシュ均衡」に加えて「ゲーム理論」というのも聞きなれない言葉かもしれませんが、政治経済から仕事、暮らしまで幅広く役立つ戦略的な考え方の一つ

ビジネスマンに限らず知っておいて損はないものだと思います。

ナッシュ均衡の簡単な説明

本来ナッシュ均衡には言葉の定義や前提となる条件などありますが、いわゆる学問としての「ゲーム理論」や「ナッシュ均衡」の解説はここでは行いません。

学問として理解しておくことも重要ですが、それは後半で紹介する書籍が大変参考になるので、興味がある方は是非読んで見てもらえればと思います。

今回は、ナッシュ均衡とはどういった状態か?どのように役に立つのか?という点を紹介したいと思います。

まず、ナッシュ均衡を一般的な言葉で簡潔に説明してみると、

自分と相手が「ナッシュ均衡の行動」を選んでいるもとでは、他のどの行動よりもその行動が一番得になる(他の行動をとるとそれ以上得にはならず、損してしまう)

というものです。

うーん、やっぱり意味がわかりにくいですね。。

ということで、いくつか事例を挙げて説明していきたいと思います。

一つ目はナッシュ均衡を学ぶときによく使われる「囚人のジレンマ」という有名な例題です。

ナッシュ均衡の例題:囚人のジレンマ

共同で犯罪を行い逮捕された2人の囚人がいるという設定です。

ここで、警察は十分な証拠を得るために囚人たちに対して取引を持ちかけます。

警察が提示した取引の内容は次のとおり。

  • 2人とも自白しなければともに2年の禁固刑となる。
  • 1人だけが自白したら、自白した者は1年で釈放されるが、もう1人は10年の禁固刑となる。
  • 2人とも自白したら、ともに5年の禁固刑となる。

この提案に対して2人の囚人は「黙秘すべきか」「自白すべきか」というのが問題

ただし、2人の囚人は別室に隔離されているためお互いに相談することはできません。本来、相談ができるのならば2人とも自白せずに2年の拘留を選べば良いのですが、相手の出方がわからないというのがポイントです。

この問題では、相手が先に自白すれば自分だけが禁固10年となるリスクがあることから、結局2人とも自白することになってしまいます。

このように、「不合理だけど自分1人が行動を変えても自分は得しないため、合理的な選択をすることができない」という硬直状態がナッシュ均衡です。

相手を信頼できるかどうかという心理的な側面で行動が変わると思った方もいるかもしれませんが、ゲーム理論という学問においては、個人の性格や心理という側面は考えず、お互いが最適な判断、行動をとるという前提があります。

注意点としては、人の行動には心理が大きく作用するので、現実の世界を考える場合はもっと複雑で必ずしも理論通りの結果にはならないということを認識しておきましょう。

ただ、心理的側面を考慮しても「不合理だけど自分1人が行動を変えても自分は得しないため、合理的な選択をすることができない」というナッシュ均衡状態は、現実社会でもよく見受けられるものです。

現実社会における「ナッシュ均衡」の事例

それでは、世の中の政治や環境問題、もっと身近な日常の出来事など実際の社会現象についての事例を紹介してみたいと思います。

ナッシュ均衡の身近な例その1:残業問題

従業員は残業せずに帰宅できるのが理想です。

しかし、仕事が残っていて周りの従業員が残業している環境では、自分だけ帰宅してしまっては、自分1人だけ進捗が遅れるか、残業する他のメンバにさらに負荷がかかってしまう可能性があります。

また、たくさん残業している他のメンバより人事上の評価が下がるという可能性がないとはいえません。

その結果、誰かが残業しだすとみんなが残業するという均衡状態に陥ってしまいます。

働き方改革が謳われるようになってしばらくたちますが、これでは長時間労働が常態化してしまい生産性が上がりませんし、会社としても残業代というコストがかさんでしまいます。

ナッシュ均衡の身近な例その2:買い占め問題

新型コロナウイルスの影響でも度々発生しましたが、マスクやトイレットペーパー、一部の食料品などが品薄となり、買い占め問題は大きな社会問題となっています。

すでに周りの人が買い急いでいる状況では、自分だけ普段通りでいると『必要なときに商品が買えなくなっている』可能性があります。これは自分にとっては最悪の事態です。

つまり、自分も買いに急ぐというのは、一消費者の視点で見れば理にかなった行動とも言えます。

ナッシュ均衡を打破するには

ナッシュ均衡を打破するには

これまで見てきたように、ナッシュ均衡は『自分だけが行動を変えると損をするので、自分は行動を変えない方が良い』というのが基本的な原理といえます。

また、相手についても同じことが成り立つので、相手も行動を変えないほうが良い状態になります。

実例で紹介したように『単純にとれる選択肢を並べお互いが良いものを選ぶ』のでは、負の連鎖を生んでしまい、ナッシュ均衡に陥ってしてしまうものです。

この硬直状態を変えるための一般的な解決策は『前提となるルールを変える』ことしかありません。

ただ、社会や会社の制度の問題だと言ってしまうと結局自分としての行動は変わりませんし、損し続けるのは自分自身です。

ではどうしたら良いのでしょうか?

それは、もう一段上の視点でWinWinを考えることです。

本来目指すべきWinWinとはどういうものか?は【ウィンウィン(Win-Win)の関係とは】間違えてたら逆効果!目指す姿と考え方という記事を参考にしてみてください。

前提にしているルールを変えることは可能

誰でも前提となっているルールを変えることができます。

それは、自分の頭の中にあるルール(=固定観念)です。

実は、ナッシュ均衡のような状態は自分の頭の中でも起こります。

ものの見方、捉え方を変えることで自分の中のルールを変えてしまえば、行動を変えることができますよね。

ものの見方、捉え方を変えるのには【3つの目】視点を増やせば 世界が変わる。重要な3つの視点!という記事が参考になると思います。

残業問題への対策例

本来望ましい状態というのは『生産性が上がることで残業がなくても業務のアウトプットをだせる』ということです。

単に労働時間を減らすだけでは生産性は向上しませんし、残業代がないと生活に困るというのが実情という方も多いと思います。もしくは残業代なんて出る方がマシで、基本的にサービス残業だという方もいるかもしれません。

いずれにしても、その業務に関わることをや役に立ちそうなスキルを磨くのに時間を当てるようにするというのはどうでしょうか?

そうすれば自分自身がスキルアップして生産性向上に貢献することができるでしょう。

例えば、普段エクセルを使っているのであれば、もっと効率の良いエクセルの使い方を調べたり、使えるようにするために時間を割くのです。

残業代が必要だったり残業してもお金が発生しないのであれば、その残業時間の一部を自分と業務のアウトプットの生産性向上のために投資します。

少しでも効果があれば、そこで生まれた時間をまた自分に再投資していきます。

かつてGoogleには20%ルールというのがありました。それを個人でできる範囲の時間で実践するものと考えて見てもよいかもしれません。

マスクやトイレットペーパー買い占め問題への対策例

残業問題と同様に、もっと上の視点で考えれば、行動が変わります。

それは、省エネで暮らすようにするということです。

周りより消費のペースがゆっくりであれば、買い急ぐ頻度や買う量そのものを減らすことができますよね。

単に物をなくすのではなく、必要なものはある程度ストックしておき、生活する上で必要になる消費量を減らしておくことがポイントです。

これは災害時や家族の事故や病気などのリスクに対しての備えにもなると同時に、環境にもやさしく経済的な負担も減ります。

ナッシュ均衡を学べるゲーム理論のおすすめの本:ゲーム理論入門

今回はナッシュ均衡の概要のみで話を展開してしまいましたが、本来はゲーム理論を簡単にでも勉強しておくことをおすすめします。

こちらのゼミナールから出版されている「ゲーム理論入門」は、簡単な例題から詳しく解説があり、初学者であっても読み進められるのでおすすめです!

まとめ

今回はゲーム理論におけるナッシュ均衡について、囚人のジレンマ身近な社会現象を例にして紹介しました。

ナッシュ均衡にあるときは、『自分だけの視点では行動を変えるべきではない状況に陥っている状態』です。この状態をどのように打破していくか?という方法は『前提となっている状況に対する視点を変えること』以外にはありません。

物事を捉える視点を変え、関係する周囲と相乗効果を高めていくには以下の記事も役に立つと思いますので、ぜひ参考にしてみていただければと思います。

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