企業にお勤めの方は、会社の福利厚生として『従業員の資産運用をサポートする制度』があったりしますよね。
資産運用をサポートする制度というのは具体的には『従業員持株会』や『財形貯蓄』、『企業型確定拠出年金制度』などのことです。
この福利厚生の資産形成制度は、『少額からOK』『手数料ゼロ』『給与天引き可』など”様々なメリットがある”ということはご存知かと思います。
一方で、あまり手間もかからないが故に『入社当時からほったらかしになってる…。』なんてことになっていませんか?
企業に10数年勤めてきた自身の経験からいうと『大きな金額を運用することはできないものの、リスクを抑えて堅実に資産を増やすには良い手段』だと実感しています。
ちなみに、下の画像は今回紹介する制度の一つでもある『確定拠出年金』の今の運用状況です。
拠出した運用金額は200万円とまだ大きな額ではありませんが、評価損益は+100万円を超えています。
今は調子が良いだけでは?という見方もありますが、これくらい金額が動かせると『福利厚生で資産運用』という実感が伴ってくるように思えるのではないでしょうか。
そこで今回は『企業の福利厚生制度でできる資産運用と活用方法』を紹介したいと思います。
内容としては、大きく運用していく前の資産形成(1000万円くらいまで)をするのに役立つと思います。
- 社内制度の福利厚生はあるけどあまり活用できていない…。
- これから資産形成、資産運用をはじめていきたい!
- 他の人がどのように運用しているか参考にしたい!
福利厚生制度を活用した資産形成とそのメリットとは
冒頭で紹介している運用実績でやってきたことで特別なことは一切ありません。
運用を開始以来たまに配分を見直す作業くらい。それも数ヶ月に1度くらいのゆるいペースです。
会社の福利厚生で資産形成をするメリットは『始めやすく、手間がかからない』ことでしょう。
ですが『資産形成サポートの福利厚生』といっても企業によって様々な種類があります。
肝心なポイントは、ライフステージに応じて何をどのように活用していくか?です!
わかりやすく解説されているサイトもありますし、社内で確認すれば詳しく知ることはできますが、どのように活用しているかは個々人のプライベートな内容なのであまりわかりませんよね。
そこで、まずは代表的な制度の特徴やそのメリット・デメリットを押さえ、その上で活用事例(我が家のケース)を紹介します。
まず紹介するのは以下の基本的な4つの制度です。
- 従業員持株制度
- 確定拠出年金
- 社内預金制度
- 財形貯蓄
メリットやデメリットも会社が設ける制度ごとに変わってくるかと思いますので、詳しくはお勤めの会社の制度を確認してもらう必要があります。
あくまで、会社制度を活用した資産形成のイメージがつくということが本記事の目的です。
従業員持株制度とは
上場企業の実に9割以上が採用しているという従業員持株制度。
『持株会』とか『自社株制度』と呼ぶ場合もありますね。
従業員持株制度は、従業員の給与や賞与から天引きして自社の株を購入できるというものです。
1番のメリットは奨励金!
一般的には日本国株は100株単位での売買となりますが、従業員持株会のメリットは以下の通り。
- 100株未満の少額の資金から投資ができる
- 手数料がかからない(会社持ち)
- 拠出額に応じて配当金を得られる
- 多くの企業では、株式取得の数%分が奨励金として補助される
特に1番のメリットは4点めに挙げた『奨励金』です。
実は、従業員持株制度のポイントは、表向きは「従業員の福利厚生」を目的としていますが、「企業側にもメリットがある」ことにあります。
どういうことか?というと、
企業側からすると「従業員持株会は長期的に自社株を保有してくれる安定した株主層の形成」につながるのです。
なので、持株制度は株式取得に際して奨励金として5~10%くらいの補助がついたりします。奨励金がめちゃくちゃ大きい場合は50%とか、中には100%という企業もあるようです。(通常の取引額の倍の株数を取得できる!)
これは他の福利厚生制度にはない特徴であり、一番メリットを享受し易い制度といえます。
デメリットは個人の資産も企業に託してしまうこと
パッと見お得でしかない従業員持株制度ですが、デメリットも存在します。
企業の業績が下がってしまったとき『残業カット』や『ボーナス減額』のみならず、保有資産も連動して目減りしてしまいリスクが集中してしまうことです。
活用のポイント
企業側の狙いは長期保有してほしいところではありますが、制度として禁止されていないのであれば、取得した株を売却するのは個人の自由です。(自社の制度をよく確認しておきましょう。)
- 自身が一番よく知っている企業の株式銘柄
- 奨励金による補助
- 手数料優遇
- 定期買付いによるドルコスト平均法
これらの組み合わせにより、損失を出すリスクはかなり低くおさえられるためです。
仮に取得時の値で売却したとしても、奨励金分と保有していた期間の配当金の収益が得られるわけです。もちろん取得額より高値で売却すれば売却益も得られます。
もう一つは、他の株式銘柄などの資産運用と併用することです。相対的に自社株の割合が小さくなればリスクは抑えられます。
企業型確定拠出年金(企業型DC)とは
2つめの制度は『企業型確定拠出年金制度(企業型DC)』です。
厚生年金とか他の年金制度を含めた概要についてはこちらのサイトなどがわかりやすいと思います。
企業型確定拠出年金で積み立て運用した資産は、60歳以降に年金や一時金として受け取ることができます。
積み立てたお金で運用するので元本割れのリスクはあります。
個人型確定拠出年金(iDeCo)との違いは?
iDeCoの正式名称は『個人型確定拠出年金』です。
名前がよく似ていますが、会社制度ではなく個人で運用するのがiDeCo(個人型)。
企業型確定拠出年金の場合は、手数料がかからず出資金の一部を会社が負担(補助)してくれたりします。また、もし転職したときでも、積立金は個人型や転職先に移管するといった手続きも可能です。
企業型がある場合はまずは企業型を優先しましょう。
企業型確定拠出年金のメリット・デメリット
主なメリットは様々な『税制面の優遇』です。
- 運用益が課税されない
- 税負担が軽減される
- 年金受け取り時に控除対象となる
一方のデメリットといえば「60歳まで現金化できない」ことで、これはiDeCoと同様です。
企業型確定拠出年金の活用方法
年金問題とか老後資金2000万円とか何かと話題になっていますので活用しない手は無いです。
というより、制度がある企業の場合は、入社したとき必然的に加入することになるかと思います。
社内預金制度とは
社内預金制度は企業によって様々な名称があるのではと思います。
だいたい1%前後くらいの金利を設定してあるのが平均的のようです。
普通預金金利=0.001%、定期預金金利=0.002%、宅ローンの金利も0.5%程度という時代に「0.5%以上」というのがポイントです。
メリットは他の制度より比較的利率が高く、資金の流動性も高い
社内預金制度も持株会と同様に少し裏事情(?)があります。
それは、社内預金制度には「利息をつけること」「下限率は0.5%」が法律で決まっていることです。
あと、年金制度と違い自由に引き出しが可能だったりします。
ただし、社内で手続きしたりして実際に口座に振り込まれるまでに多少タイムラグが発生したり、預け入れてから引き出すまでの期間が設けられているかもしれません。
デメリット
特別デメリットはないように思いますが、制度によっては「拠出してから数ヶ月は元本割れする」とか「拠出してから一定期間引き出しできない」などの条件があると思いますので確認が必要です。
また、銀行預金と比較すると、元本1000万円までが払い戻されるペイオフの対象にならない。というのも注意しておきましょう。
活用方法
企業側はあまりメリットがない状況です。利率の良い制度が残っている企業にお勤めの方はまずこの社内預金枠いっぱいまで預金するというのが効果的な方法になります。
財形貯蓄とは
さいごに財形貯蓄です。
財形貯蓄制度とは
財形貯蓄とは、毎月の給与から一定金額が自動で天引きされて積み立てる制度です。
財形貯蓄の金利は0.01%程度。数値上は銀行預金よりは良いけれど、現在は銀行預金同様に実質的には意味がない。利息分は非課税だったりしますが、あえて財形貯蓄をする理由はないように思います。
福利厚生を使った資産形成の事例(我が家のケース)
ざっと解説しましたが、それぞれメリットもあるけどリスクもある。
「でも、そりゃそうだよね。」といった感じではないでしょうか?
制度の種類や条件は会社ごとに様々ですし、社内制度を使わずに個人でできる方法もたくさんあります。
重要なポイントはライフステージに応じてにこれらをどのように組み合わせて活用するかです。
そこで、先ほど紹介した制度の内容を踏まえ我が家で活用した事例を紹介します。
もちろん正解というのはありませんのであくまで参考にしていただければと思います。
社内預金を銀行口座の代わりにする
今の時代銀行の利息は無いに等しいですが、いざというときのために『ある程度の額』を銀行に預金している方も多いと思います。
いざといってもさすがに明日必要!なんてことはそう無いはずです。その口座の役割を社内預金にするというのが一つの手です。
こうすることで、いざお金が必要になるまで利息がつき、寝かせることなく働いてくれます。
ポイントになるのは、利息が適用される制度の上限額までいかに早く拠出するかです。
社内預金は、銀行口座にいくら残高があっても振り替えできません。月に1回の給与天引きのためすぐには上限までは到達しません。
そこで我が家では、天引き額は最大限増やし、毎月の生活費は銀行口座から引き落として生活していました。
入金力を高めるのに何より大事なのは日々の生活を見直し支出を最適化することです。【1000万円貯める方法】我が家が5年で達成するためにやったことという記事も参考にしてみてください。
従業員持株制度で手元資産を増やす
社内預金制度の利息が適用される上限額まで積み立ててしまうと、それ以上拠出するメリットはありません。
かといって銀行口座に預金するメリットこそ無いので、資産運用にシフトしていきます。
ここで従業員持株制度を活用しています。
自社株オンリーは後々リスクでしかないのですが、あくまで投資先の一つとして自社株比率を抑えながら運用すればリスクは分散できます。
実際、拠出した時点では奨励金による運用資金を数%上乗せする効果は大きいですし、高値で売却できればまとまった運用資金ができあがります。
これは別の投資先への入金を加速させるのに役立ちます。
資産運用の始め方については【資産運用の始め方!】かんたん・安心な投資方法と増やし方のコツ!という記事にまとめています。
確定拠出年金は積極的にリターンを狙う
老後資金の確保という観点で言えば、上記の2つでも実施できています。
であれば、確定拠出年金は「貯蓄」より「投資」としてリターンを狙うのも手です。
というのも、運用資金が増えれば、確定拠出年金の特徴である税制面の優遇メリットを活かすことにもつながるためです。
運用額が少ないうちは税制面の優遇といってもそれほど恩恵がなく、あまり実感が湧かないと思います。
実際、我が家も当初は元本が保証される貯蓄型の定期預金にしたり、リスクを分散させた構成にしていました。
ですが、これだとあまり資産は増えていかないので、ほったらかしになってしまいがちです。
「思い当たる方」や「うちは大丈夫?と思った奥様」は確認してみましょう。
実際我が家は『ある程度リスクをとる運用』に変えてから資産が伸びるようになりました。
↑この時から数年経過した現在、いつの間にかかなりの額に達していました。
まとめ
今回は会社の福利厚生でできる資産形成度について紹介しました。
- 従業員持株制度
- 確定拠出年金
- 社内預金制度
- 財形貯蓄
それぞれの制度の特徴を踏まえ、我が家で活用した方法は以下のとおり。
- 社内預金を銀行口座の代わりにする
- 従業員持株制度で手元資産を増やす
- 確定拠出年金は積極的にリターンを狙う
一度方針が決まれば、設定するだけそれほど手間はかかりません。
特に早い時期に取り組むのが効果的だと思いますので、見直してみるのはいかがでしょうか。