『45歳定年制』というキーワードが大きな波紋を呼んでいますね。
一方で、日本政府は生涯現役社会の実現を目指しています。
背景には、少子化高齢化が進む日本の労働力確保や年金支給年齢引き上げなどがあり、日本は70歳までの雇用を義務化する動きがあります。
一見すると企業側と労働者側とで対立する考え方のようにも思えますが、結局は大きな流れとして同じ方向に向かっているように思います。
グローバルに見れば、世界の定年年齢は上昇傾向にあるのは確かなようです。
“70歳まで活き活きと健康的に働ける社会”というと聞こえは良いですが、
日本の場合は、70歳まで働き続けなくてはならない
という方が実態として正しいでしょう。
年金支給年齢引き上げや住宅ローンなど老後資金に不安がある中、もし45歳で定年を迫られるとなれば憤りを感じ反発があるのももっともです。
しかし、労働者と同じく企業も厳しい状況にあり、賃金を上げられない。ここが日本の課題です。
企業は、生涯雇用が義務化となれば、何かしらの対策を取らざるを得ません。
そこで想定されるのは、45歳以降の中高年社員を中心とした
- 希望退職の強化
- 賃金の大幅な引き下げ
です。
いずれにしても将来は厳しいと感じられるが普通かもしれませんが、そんな時代の流れを追い風にできるのがサイドFIREではないでしょうか。
そこで今回は、定年制度の動向がサイドFIREの追い風となる理由とその対策について紹介したいと思います。
定年は45歳?70歳?
日本の従来の働き方のモデルは60歳まで務め続けるという終身雇用制でした。
しかし、トヨタ自動車の社長である豊田章男さんも『なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた』と発言されているように、単純に就寝雇用年齢を65歳や70歳まで引き上げるということにはなりません。
そういった事情もあり45歳定年制という考え方もでてくるわけですね。
そこでまず、70歳まで働き続ける場合と、45歳で定年を迎えるケースとで考えてみます。
70歳で定年というシナリオ
今の日本は、少子高齢化による労働力不足の問題を解決するため、高年齢者がより長く活躍できる社会をつくる必要があります。
そこで、2021年4月に改正高年齢者雇用安定法が施行され、企業は65歳までの雇用確保義務に加えて70歳までの就業確保が努力義務になりました。
この流れで70歳まで働き続けるという道です。
すでに住宅ローンの返済期限平均は73歳となっていますが、大多数の人は働きたくなくても、働き続けなくてはならないという状況になるかもしれません。
企業側としては負担となる可能性は大きく、そのような状況で70歳まで働き続けたとしても、給与待遇は期待できるものではないでしょう。
むしろ、大幅な賃金の引き下げは覚悟しておかなければなりません。
45歳定年というシナリオ
45歳定年制といえば、サントリーホールディングスの社長で政府の経済財政諮問会議の民間議員も務める新浪剛史さんの発言です。
この45歳という具体的な数字などの是非は置いておいて、多くの人が70歳まで働くとすると、45歳はちょうど中間地点に当たります。人生としても折り返しと考えてもよいでしょう。
若いうちの賃金も抑えられていた期間もおおく占めるので、ここで退職するのは割りに合わない気もするし、転職市場としても条件が良いわけでもありません。
これまでの経験や人脈、スキルを活かして飛躍するという可能性が無いわけではありませんが、ごく限られた人ではないでしょうか。
サイドFIREが追い風となる理由
45歳、70歳定年のどちらのシナリオも一見厳しそうですが、サイドFIREを考えてみたときには追い風となるポイントがあります。
FIREとは「経済的自立と早期リタイア」という意味ですね。サイドFIREとは完全にリタイアせず、資産や運用収入を補う程度の就労所得を好きな仕事を続けて生活していくものです。
そのポイントとは、
- 早期退職制度の好条件化
- 高年齢になっても働く機会の拡大
です。
早期退職制度の好条件化
基本的には65歳、70歳まで残りたいと思う方が多数です。
そうなれば、退職金の上乗せなどの待遇の改善をしてでも早期の希望退職を強化する動きがでてきます。
2021年時点での事例だけ見ても、ホンダやパナソニックなどの大企業も早期退職者を募っています。この流れは当面続くでしょうし、対象年齢の引き下げや募集人員の増加もあるでしょう。
再雇用支援や休職による手当を受けながら、退職金の増額まであるとすれば、サイドFIREするには好条件です。
なんの準備もなくリストラ対象になってしまった場合は大変ですが、
準備ができている人にとってはチャンスとなります。
高齢になっても働く機会の拡大
労働人口を確保していかなければならない状況にあるため、本人が健康であり、働く意思さえあれば、何かしらの就労は可能であると考えられます。
賃金水準は望めなくても、やりがいや社会とのつながりのために働く機会を得る間口としては広くなるでしょうし、ジョブ型のようなフレキシブルな働き方も増えるでしょう。
働くことを前提としたサイドFIREの場合、働く年齢の制限が無かったり、働き方がフレキシブルであることはむしろ好都合となります。
サイドFIREに向けて世代別にやっておくこと
以上を踏まえ、40代あたりでサイドFIREするためにやっておくことを整理してみます。我が家は30代から取り組んできましたが、その経験をもとにしています。
20代のうちにできること
資産が少ないこの時期は、資産の運用効果はたかが知れています。資産運用を頑張るよりも、倹約による給与所得をベースとした資産形成(種銭をつくる)をします。
また、本を読むとか社内考課査定にも影響する英語学習(TOEIC)など、自己投資するのにはたいしてお金はかからないので、早いうちに取り組んでおくのが良いでしょう。
今の会社でも所得アップが望めるのなら良いですが、そうではないとすると転職しておくのは手です。
30代のうちにできること
30代のなるべく早くサイドFIREしたいという考え方もあると思いますが、組織にいるからこそ経験できる大きな仕事に携われるチャンスもあるので、積極的にチャレンジしておくのも良いのではないかと思います。
30代を倹約生活の上で資産運用にもしっかり取り組めば、サイドFIREできる資産を築くことも可能でしょう(必要な生活費によりますが)。
また、資産運用による所得だけではなく、FIRE後の収益減にもなる副業にチャレンジしておきたいところです。
40代のうちにできること
スキルの習得や資産形成、副業の収益化など、FIRE後に必要で30代までに足りていなかった部分を補っておきます。
準備が整っていれば、あとはなるべく条件の良いタイミングを見計らっておくだけ。
蓄財を進めて資産運用効果を高めておくのも良し、副業の事業化を進めるのも良し、会社でやりがいを追求するのも良いのではないでしょうか。
まとめ
今回は日本の定年制度について45歳と70歳のケースを考えてみました。
- 早期退職制度の好条件化
- 高年齢になっても働く機会の拡大
この2点はサイドFIREの追い風になることでしょう。
合わせて20代、30代、40代でやっておくことを整理しみました。(我が家は30代の途中あたりから取り組んできましたが、その経験をもとにしています。)
『いやいや、現時点でそんな状況に無いよ』という方も、まずはしっかり倹約して生活を見直してみれば違った世界が見えてくるのではと思います。