完全に経済的自立をしてアーリーリタイアをする”FIRE”ではなく、働き続けることを前提とした“サイドFIRE”。
サイドFIREなら資産が少なくても実現できる可能性があり、日本のサラリーマンの方にとっても魅力がありますよね。
サイドFIREには、生活費のどれくらいを労働収入でまかなうか?という決まりはありません。(そもそも、どのくらい生活費がかかるかもそれぞれの家計次第なので、かなり自由度が高いです。)
いろんなケースを考えられるため、「FIREシミュレーション(FIRE計算)ができるサイト」や「独自にサイドFIREに向けたシミュレーションをされているサイト」も多く見かけます。
我が家もまだ道半ばですが、若い世帯の方よりは年配な方(30代後半、既婚、持家有り)。
すると、あるシミュレーションの少し先の人生を歩んでいるときもあったりするわけです。
そこで得た気づきは、
” 想定は崩れるものだ “
ということです。
シミュレーションした計画がどこまで実現性があるか?というのは超重要なポイントではないでしょうか。
サイドFIREのシミュレーションをする際に注意しておきたいことは次の3点。
- 生活費はライフステージごとに変化する
- 資産目標は都合よく調整できてしまう
- FIREを目指す人を対象としたビジネスも増えている
そこで、今回はサイドFIREを計画する際のシミュレーション計算で考慮しておくべきことを自戒を込めて考えてみたいと思います。
サイドFIREシミュレーションの落とし穴
FIREやアーリーリタイアのシミュレーションをするときは、「自分の生活費をどれくらいと見積もるか」で結果が大きく変わります。
FIRE達成時の目標資産額を「年間支出の25倍」といった考え方をするので、これは当たり前といえば、当たり前です。
ですが、生涯の年間支出を決めるというのは結構難しいものです。
その理由は以下の3点。
- 生活費はライフステージごとに変化する
- 資産目標は都合よく調整できてしまう
- FIREを目指す人を対象としたビジネスも増えている
ここを押さえておかなければ、せっかくシミュレーションした計画も絵に描いた餅になってしまいます。
❶ 生活費はライフステージごとに変化する
当初のシミュレーション通りの生活を続けていれば良いのですが、一生同じ生活スタイルを続けるという方はかなり珍しいのではないでしょうか。
我が家の場合、ここ10年間を振り返ってみても常に変化しています。
具体的には、単身/既婚の違いであったり、家賃(社宅)/住宅ローン、子供の養育費だったりです。
10年前の20代だった頃の自分には全く想像できていない生活を送っています。
生活費はもちろん変わりましたし、社会的な環境も10年でかなり様変わりしました。
また、今後は両親の介護であったり、家族の健康上の問題などを考慮すればこれからも生活は変化し続けるはず。
医療費や介護費なんかもコントロールできるものではありません。
4%ルール自体は歴史的にも確証があるものの、「生活費がいくら必要か?」は、ここ数年の”今”の生活費をベースにして考えてしまうと後々影響が出てくる可能性が大きいのではないでしょうか。
それでも、子供の教育費や住宅ローン、老後資金といった大きなライフイベントに対してある程度目処がつくようであれば、多少の生活の変化には許容範囲となってくるでしょう。
❷ 資産目標は都合よく調整できてしまう
もう一つの注意点は、資産目標の設定。
サイドFIREを考える場合、とりあえず “生活費×25÷2” を資産目標の目安にすると思います。
そして、「残りの”生活費の半分”は働いてまかなえばよい」と考えるわけですね。
簡単な事例として、生活費が20万円/月程度の場合、
- 金融資産3,000万円(毎月10万円の不労所得)
- 月々10万円の稼ぎ
これで、“サイドFIREできる”という試算になります。
そして、3,000万円の資産を築くのに10年なら年300万円ペースの入金が必要ってことになります。
でも、ちょっと難しいな…。という場合です。
- 年200万円ペースにして15年にするか?
- いっそ、資産目標を2,000万円にして月々の労働収入を13万にする?
という調整がいくらでもできてしまいます。
要は、「どうにかサイドFIREを成立させる計画を作ることができてしまう」ということです。
ただし、収入が落ち込むことだってありうるだろうし、先に紹介したように、将来の生活費も変動する可能性は大いにあります。
そうなると「生活するための労働」を選択せざるを得なくなってしまい、これでは元の木阿弥です。
❸ FIREを目指す人を対象としたビジネスも増えている
サイドFIREは自由度が高く、サラリーマンにとっても実現性があって魅力的です。
となると、そういったサイドFIREを目指すサラリーマンをターゲットとしたビジネスもまた展開されていくわけです。
FIREのシミュレーションができるサイトなら簡単にシミュレーションできますし、サイドFIREが成立するプランを設計することは可能でしょう。
でも、そういったサイトから「もう少し慎重に計画しましょう」という指摘をしてくれることはありません。というのも、シミュレーションしてもらうことは、資産運用口座の開設やツールなどの販売のきっかけにつながっているわけで、悲観的な結果に導く必要性はありません。
そう考えると、「魅力的で実現可能性もありそう」とはいえ、ちまたの情報には慎重に受け取るくらいが丁度良いかなと思います。
まとめ
今回はサイドFIREを目指す上で、必要な資産目標の設定についての注意点を考えてみました。
- 生活費はライフステージごとに変化する
- 資産目標は都合よく調整できてしまう
- FIREを目指す人を対象としたビジネスも増えている
自分自身を振り返ると、もし20代でサイドFIREを計画していたとしても、当初シミュレーションした通り積み立てていればサイドFIRE達成!とはいかないだろうと思いました。
重要なのは計画より収入源(入金力)の確保
とは言っても、未来を予測することは出来ないように、シミュレーションの精度を高めるのは難しいですよね。
どうしたら良いかといえば、まず生活費を最適化(節約)して資産運用していくというのはもちろんのこと、出来る限り収入アップにも務めるべきであろうと思います。
- 支出を抑える(節約)
- 資産を増やす(資産運用)
- 収入を増やす(入金力を上げる)
資産運用の効果は最初は微々たるものなので、FIRE(サイドFIRE)の実現性は3の入金力が大きく影響します。
また、サイドFIREといっても、あくまで「働かずともFI(経済的自立)できるレベル」を目指しながら、好きな働き方へシフトするというのが手堅いでしょう。
我が家の場合、徐々に資産運用の効果も感じつつありますが、改めて❸の入金力について取り組んでいこうと思った次第です。