【ミニマリスト思考を深める】老荘思想、ストア哲学、禅の教え、3選

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ミニマリストの外見上の特徴といえば「物が少ない」ということに尽きます。

ただ、そのような振る舞いに至る価値観や性格、経緯は人それぞれ。

我が家はモノを少なくすることにこだわって生活していませんが、ただ自分たちにとって不要なものは取り入れないようにしていたら、次第にミニマリストのようになっていました。

なので、

  • ものを増やさないようにするにはどうすれば良いか?
  • 重要なものとそうで無いものをどう判断するか?
  • どうすればゆとりのある暮らしができるか?

といった問題は、「ハウツー」よりも根底の「価値観」や「考え方」が重要だと思っています。(手段としては、使わなくなったものは捨てて、不要なものは買わない、ってだけですし、必要なものや、その適正な量は人それぞれでしょう)

なにより、

周囲の評価や世間の価値観といった外に目を向けるのではなく、自分の内面と向き合うこと(内省すること)が重要。

現代社会では、物質的な所有を減らし、シンプルな生活を追求するミニマリズムが注目されることもありますが、ミニマリストとしての生活は、物だけでなく心の中の不要なものも整理することに価値があります。

このような考え方は別に新しいものでも、特別なことでもありません。

そこでこの記事では、古代の哲学や宗教の教えから、ミニマリストの思考法を深めるためのヒントや参考になる書籍について紹介します。

  1. 老荘思想:自然と共に生きる
  2. ストア哲学:内面の平静を追求する
  3. 禅:今ここに集中する

別にミニマリストになりたいってわけじゃなくても、物質としてのモノだけでなく、情報や、こうあるべきといった世の中の風潮とか、何かに縛られているような違和感を若干でも感じるなら、参考になると思います。

目次

ミニマリスト思考を深める思想とおすすめ書籍

今回は、古典の中からミニマリストの思想に通じる考え方を個人的な独断で3つ紹介します。

  1. 老荘思想:自然と共に生きる
  2. ストア哲学:内面の平静を追求する
  3. 禅:今ここに集中する

老荘思想:自然と共に生きる

ミニマリストにも通じる有名な言葉として「足るを知る」があります。

 「足るを知る者は富む」、つまり「何事に対しても、“満足する”という意識を持つことで、精神的に豊かになり、幸せな気持ちで生きていける」ということを表しています。

これは老子の言葉として知られています。

ミニマリスト的な教え

老荘思想は、老子と荘子によって代表される道家の思想です。

この思想の中心には「無為自然」という概念があります。これは、自然の流れに身を任せ、過度な努力や欲望を避けることを意味します。

自然との調和を重んじ、物質的な所有よりも心の平安を求める考え方は、ミニマリズムと深く共鳴するのではないでしょうか。

一方で、孔子の教えとされる儒教なら聞き覚えがあるという方の方が多いと思います。というのも、日本の政治制度や経済活動、教育、家庭の価値観など、日本社会に儒教は深く影響しているためです。

儒教は忠誠心と従順さを美徳としたり、個人よりも集団の利益を優先する価値観、礼儀作法や形式を重視する考え方が、過度な形式主義を生み出していったようにも感じられます。

こういった側面は儒教発祥の地である中国でも昔からあり、老荘思想はそのカウンター的な位置付けにあります。

参考書籍

老子の思想を学ぶにはこの1冊。

453ページと結構ボリュームがありますが、大量の注釈やあとがきによるもので、それらを除いた本文だけを読むのなら、サラッと読み進めていうことができると思います。

一方の論語(儒教)については、現代日本経済の礎を築いたとされる渋沢栄一の「論語と算盤」がおすすめ。(ミニマリストとは関係ないですが)

ストア哲学:内面の平静を追求する

「自然の原理に従って生きる」という思想は西洋にもあります。

それが「ストア思想(ストア哲学)」。

ストイックの語源は、ストア学派やストア学派の哲学者を意味する英語のストイック(Stoic)が由来です、というと一見堅苦しそうですが、シンプルで明快です。

「コントロールできるものとできないものを区別し、コントロールできることのみを気にかけ、あとのことは平静さを持って対処する」そういった精神を持つ術を教えてくれます。

ミニマリスト的な教え

ストア哲学は、ゼノンに始まり、セネカ、エピクテトス、マルクス・アウレリウスなどの思想家によって発展しました。

この哲学は、外部の状況に左右されず、内面的な平静を保つことを重視します。理性を使って欲望や感情を制御し、禁欲的な生活を送ることは、ミニマリストの生活と密接に関連しています。

周囲からは「ケチケチと節約して、つまらなそう」に見えても、当の本人は「自由で満ち足りた心を得ている」というのが正にそれかなと。

参考書籍:自省録

ストア哲学といえば、マルクス・アウレリウスの「自省録」が必読書。

マルクスアウレリウスは第16代ローマ皇帝(五賢帝最後の皇帝)で、ローマ帝国最盛期の皇帝であるとともにストア派の哲学者でもありました。

といっても、ローマ皇帝に哲学書を読みふけったり、執筆するといった時間はなく、自省録はあくまで日記のように日々書き留めていた内容を寄せ集めたものになりますが、一人の人間が「より良く生きるには」と内省した記録になっています。

また、自分の影響力の範囲に注力するという考え方は、「嫌われる勇気」や「7つの習慣」など現代のビジネス書で言われていることそのもの。

特に「過去」「未来」を生きるのではなく「今」を生きよ、という考え方はアドラー心理学とストア哲学は同じことを言ってるようです。

これらの自己啓発・ビジネス書から読んでみるのもおすすめです。

禅:今ここに集中する

「今」を生きるというテーマは普遍的内容ですので、ブッダの教えにも含まれます。

個人的には、ブッダが説いたとされる教えそのものがミニマリスト思想に通じると考えていますが、一般的には仏教から生まれた「禅」の思想がミニマリズムを体現しているのではないかと思います。

ミニマリスト的な教え

禅は仏教の一派で、特に心の平静と悟りを重視します。禅の教えでは、現在の瞬間に集中し、過去や未来にとらわれないことが大切です。また、シンプルな生活を通じて心を清め、無心の状態を目指します。この考え方は、物質的な所有を減らし、精神的な豊かさを追求するミニマリズムと一致しています。

参考書籍:ダンマパダ、スッタニパータ

禅とか仏教の教えというのは、最近改めて注目されるようになっていますよね。

書籍も色々ありますが、禅を学ぶというよりまずブッダの教えを知っておくと、これまで紹介した思想とともに自分を内省する助けになるかと思います。

類似する思想や哲学

ここからは少しおまけですが、ミニマリズム思想が見出されるその他の宗教や哲学も参考に紹介します。

エピクロス派

エピクロス派は「快楽主義」とも呼ばれています。

ストイックの語源であるストア派と対比すると、真逆の考え方なのかと思いきや、エピクロス派も禁欲的な生活を推奨し、心の平静を追求します。過度な快楽を避け、必要最低限のものだけを求めることがミニマリズムと共通しています。

キリスト教の修道主義

キリスト教の修道主義では、物質的な所有を避け、質素な生活を送ることで神に近づくことを重視します。ミニマリストの生活と重なる部分が多いかも。

ジャイナ教

ジャイナ教は、非暴力と禁欲を重視し、物質的な所有を極力避けることを求めます。僧侶はシンプルな生活を送り、ミニマリストの理想に近い生活を実践しています。

ヒンドゥー教のアシュラム生活

ヒンドゥー教のアシュラム生活も、シンプルで禁欲的な生活を実践します。物質的な欲望を捨て、精神的な成長を目指す点でミニマリズムと一致します。

まとめ

老荘思想、ストア哲学、ブッダからはそれぞれミニマリスト的な生活を追求するための豊かな教えを提供してくれます。これらの教えを参考にしつつ内省することで価値観を磨くことができると思います。

日常生活に取り入れるならば、自ずと物質的な所有が減り、次第に心の平安を得ることができるのではないでしょうか。

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