【不動産取得にかかる諸費用の節約】準備と方法についてFPが解説

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不動産を取得する際は注意しておきたいのが「諸費用」。

一般的に、新築物件の諸費用は物件価格の5~7%、中古物件なら7~10%くらいかかるといわれています。

この諸費用が「想定外の支出」となってしまってはこれからの生活に影響してしまいますので、あらかじめどんな費用がかかるのかを把握・準備しておくことが重要です。

また、

諸費用の中には支出を抑えることができる費目もあったりします。

諸費用は決して安い金額でもないので、費用を抑えることができれば嬉しいですよね。

とはいうものの、

「諸費用」に対して実際にあれこれ対応する余裕がないというのが現実。

「マイホームを購入するとき」や「土地や家屋を相続するとき」は、ほんとうに様々な手続きや支払いの期限に追われるためです。

「どんな費用がかかるのか?」に加えて、「節約できる費目は何か?」「いつ、どうすればよいか?」まで把握しておきたいところです。

そこで、この記事では「不動産取得にかかる諸費用」について紹介し、「節約できる費目」とその「節約方法」を解説します。

何かしら自分で手を動かし、足を運んだりするする必要もあるものの、「やる」か「やらない」かは大きな違いになってくるのではないかと思いますので、ぜひ参考にしてみて下さい。

ただ、全部やり切ろうとすると相当大変です。後半では基本的な考え方を併せて紹介します。

目次

不動産取得時の諸費用と節約のポイント

まず、不動産を取得する際にかかる「諸費用」を確認してみましょう。

不動産を取得するというのは大きくは次の2つケースに分類されます。

  • 新築なり中古の不動産を購入するケース
  • 相続や贈与によって不動産を取得するケース

それぞれで必要な手続きや税率などが変わってきますので、それぞれのケースに分けて個々に解説していきます。

ライフステージ全体を通じて費用を抑える方法については、後半で詳しく解説します。

不動産を購入する際の諸費用:7種

不動産物件を購入するケースでかかる諸費用がこちら。

  1. 住宅ローンの事務手数料・保証料
  2. 仲介手数料
  3. 売買契約書に貼るための印紙税 
  4. 新居にかかる火災・地震保険料
  5. 引越し代・家具家電購入費用
  6. 不動産取得税
  7. 土地や建物にかかる登記代

それぞれの概要(いつ、誰に、どのくらい支払う必要があるのか?)と費用を抑えるポイントを解説していきます。

❶ 住宅ローンの事務手数料・保証料

住宅ローンを契約して金融機関から借入する際、金融機関に手数料を支払う必要があります。

定額の場合や定率の場合など、金額は金融機関によって異なります。

ざっくりとした目安は2%前後。3000万円の借入であれば60万円といった具合です。

また、

「ローン保証料」は金融機関の指定があったり、審査の結果として必要になるケースがあります。

保証会社へ保証料を支払う「前払い型」、もしくは相当額を上乗せした金利を設定する「金利上乗せ型」があります。

ローン保証料は、万が一ローンの返済が不能となったとき、保証会社が金融機関へ借入残金を払ってもらうための対価として支払う費用です。保証会社を利用することで住宅ローン審査に通りやすくなる可能性があります。(ただし、保証会社を利用していても万が一の場合に借入金の支払い義務がなくなるわけではありません。)

こちらも目安は2%前後。3000万円の借入であれば60万円といった具合です。

あくまで相場の一般的な値ですので、借入先や借入れ条件の選定は大きなポイントになります。

❷ 仲介手数料

不動産会社が仲介した場合、不動産会社に支払うのが仲介手数料です。

ただし、新築でも建売の物件を不動産会社から購入する場合は仲介手数料が発生します。

仲介手数料は法律によって上限が定められており、以下の式で算出します。

仲介手数料=物件価格×3%+6万円

3000万円の物件なら最高で96万円

新築物件より中古物件の方が諸費用が2、3%高くなる主な要因は「仲介手数料」の存在です。

❸ 売買契約書に貼る印紙税

印紙税は「住宅ローンの契約書」や「不動産の売買契約書」、「建築請負契約書」などを作成する際に、契約書1通ごとに課される税金のことです。

税金(国税)ですので納税先は国税庁ですが、印紙を郵便局等で購入することで支払うことになります。

基本的に節約対象にはなりませんが、記載金額が10万円を超えるもので、平成26年4月1日から令和6年3月31日までの間に作成されるものについては、不動産売買契約書の印紙税の軽減措置が適用されます。

金額は契約金額に応じて以下のように変動します。

契約金額本則税率軽減税率
1千万円を超え5千万円以下のもの2万円1万円
5千万円を超え 1億円以下のもの6万円3万円
1億円を超え 5億円以下のもの10万円6万円

❹ 火災・地震保険料

火災保険は、火災だけではなく、風水災などの自然災害や、盗難などによって、「建物」や「家財」などに生じた損害を補償する総合的な保険です。

保険会社に支払うことになりますが、金融機関が「債権の保全」を目的として、住宅ローンの申込者に対して火災保険の契約を求めるケースがあります。

手厚く保険をかければ費用は高くなりますが、どの程度の保険をかけるかというのはケースバイケースでしょう。

ただし、

明らかに不要となる保証を外すことで費用を抑えられる可能性があります。

例えば、自然災害については、「風災・雹(ひょう)災・雪災」と「水災」に対して保険金が支払われますが、「ほぼ水災の可能性は無い」という地域なら水災に対する補償は外しても構わないかもしれません。

住居のハザードマップはよく確認しておきましょう。

❺ 家電や家具・引越し代

家電や家具は新築のタイミングに合わせて購入しようとすると費用は抑えにくいでしょう。

特に備え付けの設備は故障や老朽化した際のメンテナンス費用も高くなりがちです。

引越し代は「荷物の量」と「引越し時期」で価格が決まってきます。

引越しの繁忙期である3月~4月、9月~10月あたりは避けられるのであれば費用を抑えることができるでしょう。

ただし、荷物の量は、輸送に使用するトラックをサイズダウンできなければ実質的にコストは下げられないため、段ボール数箱程度減らしたところでは、引越し料金は変わりません。

とはいえ、引越しする際は持ち物すべてを持ち込むより、一旦無駄を削ぎ落としてスリムな体質になっておくことをお勧めします。

❻ 不動産取得税

不動産取得を新たに取得した場合には不動産取得税がかかります。

税額の計算方法は以下の通り。

不動産取得税=不動産価格✕4%(住宅の場合は3%)

計算の元となる「不動産価格」とは実際の購入費ではなく、その不動産の「固定資産税評価額」のことで、実際の不動産の販売価格とは別のものです。

また、取得した建物や土地が一定の条件に当てはまる場合は、不動産取得税を軽減できる制度があります。

まず住居用の家屋、土地の場合は3%になるという軽減措置があります。

さらに新築、中古の場合それぞれに不動産価格(固定資産評価額)を軽減する措置があります。

不動産価格が3,000万円の物件の場合、軽減措置を加味すると固定資産税評価額「1,500~2,000万円」×3%となり、不動産取得税は約45~60万円ほどが目安となります。

❼ 登記代

不動産を取得したのであれば、登記手続きが必要となり「登録免許税」がかかります。

登録免許税は登記を行う者(不動産の所有者)が国に納める税金で、

登録免許税額=不動産価額✕2%

また、ローン借入がある場合は「抵当権設定登記」の場合の税額は、原則として次の計算式で求めることになっています。

抵当権設定登記にかかる登録免許税額=住宅ローンの借入額✕0.4%

3000万円の住宅ローンを借りて不動産を購入した場合の登録免許税額は、3000万円✕(2% + 0.4%)=72万円ということになります。

また、不動産登記は司法書士に依頼することになるため、司法書士への報酬がかかります。合わせて10~15万円程度の費用が必要です。

ただし、提示された報酬額が必ずしも適正価格であるとは限りません。できれば、複数の専門家から見積もりを取り、納得した上で依頼するようにしてください。

不動産を相続する際の諸費用:2種

次は不動産を相続で取得した場合です。

  1. 相続税
  2. 登録免許税

金融機関や不動産業者を介さないのでだいぶ種類が少なくなりますが、「税金」だけは残っていますね。

❶ 相続税

不動産を相続した場合は不動産取得税の代わりに相続税が発生するというイメージになります。

相続で不動産を取得したときに不動産取得税はかからない理由は、売買や贈与等とは異なり、「形式的な所有権の移動」とみなされるため、非課税となります。

また、相続税には下記のような基礎控除があります。

基礎控除額=「3,000万円 + 600万円×法定相続人の数」

「3000万円の不動産のみ」の相続であれば基礎控除内なので相続税はかからないということになります。

ただし、相続ではなく生前の「贈与」の場合は不動産取得税が発生しますし、贈与税(基礎控除は110万円まで)がかかるので注意しましょう。

❷ 登録免許税

相続の際でも登記変更は必要になります。

通常2%だった税率は下記のように0.4%に軽減されます。

登録免許税額=不動産価額✕0.4%

効果的に諸費用を抑えるには?

各費用を見てきましたが、それぞれの支払い先も時期も異なり、対応していくのは結構大変でしょう。

ここからは諸費用を抑えるための基本的な考え方や注力するポイントについて紹介します。

❶ 借入を少なくする

もしこれから住宅購入をするまでの期間があるのであれば、まずやれることで効果が大きいのは頭金を多くして借入を少なくすることです。

そうすれば手数料や保証料、登記費用をまとめて低減することができます。(当たり前と言われればそれまでですが。。)

もし「諸費用の負担が大きい」と感じるのであれば、それは「元々の買い物の金額が身の丈より高い」と捉えることもできます。

諸費用は許容できる範囲内である状態で、借入先の金融機関、仲介する不動産業者、手続きを代行していただく行政書士の方などをできる範囲でより良い選択をしていきましょう。

❷ 自分で登記変更する

あと残るのは税金関係になりますが、登記にかかる費用などは抑えることができる可能性があります。

登記など一生に一度しかないと思っても、親や配偶者から不動産を相続があったり、数回は経験するかもしれません。

不動産登記は、実は自分でも行うことが可能です。

全国の登記所(法務局)では、登記申請に関する相談ができる「手続案内窓口」を設けています。(予約制)。司法書士に依頼することなく自分で行うことによって登録料以外の諸費用を節約できます。

ただし、不動産登記は必要な提出書類も多く、法務局に幾度か出向く必要があります。そのため、自分で行う場合には、最低でも1カ月ほどかかります。

ただし、ローンが絡む「抵当権設定登記」は専門家に頼むのが無難でしょう。

❸ 相続時の税率を活用する

相続は意図して起こるものでも無く、相続税や相続時の登記費用は購入時や贈与と比べて税制上の優遇されます。

一般的な家庭では、相続税を心配するほどの土地もお金も無いというのが普通です。それでも不動産があれば諸費用は発生します。

諸費用を抑えるためと考えるのはナンセンスですが、親の夫婦間で相続するより早い段階で子供の世代に受け継ぐ方が有効な活用ができるかもしれません。(逆に、不必要な不動産を相続しないようにすることも大事)

これからの親、夫婦、子供の生活を考える良いきっかけになると思います。

まとめ

この記事では不動産取得時の諸費用について、

  • 不動産を購入する際の諸費用:7種
  • 不動産を相続する際の諸費用:2種

の概要とそれぞれの節約のポイントを併せて解説しました。

また、生涯にわたって諸費用を抑えるための基本的な考え方として次の3点を紹介しました。

  1. 借入を少なくする
  2. 自分で登記変更する
  3. 相続時の税率を活用する

諸費用が発生するのは一生に一度だけではありませんので、ライフプランに沿って準備しておくようにしましょう。

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