【確定拠出年金の出口戦略】受け取り金額を最大化する方法3選

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確定拠出年金制度(iDeCo、企業型DC)のメリットは大きく3つ。

  • 運用益は非課税
  • 掛け金が全額所得控除
  • 受け取り時も税制優遇

と、”原則60歳までは払い戻しできない”という点に心配がなければ、存分に活用していきたい制度ですよね。

好調な市場の恩恵もあって、しばらく運用されている方であれば順調に資産が育っているのではないでしょうか?

筆者の運用状況もなかなか順調に推移しています。

筆者の確定拠出年金の状況

まだそれほど、という方も、これから長い運用期間があるとすると、

「受け取り時も税制優遇」について、もう一歩踏み込んで考えておかなければ、それなりの税金がかかってしまうかもしれません。(このまま順調に推移していけば、、ですが)

そこで、この記事では確定拠出年金を受け取る際の金額を最大化する方法を3つ紹介します。

  • 2つの受け取り方法(一時金/年金)を併用する
  • 退職金の受け取りタイミングをずらす
  • 勤続年数(積立期間)を増やす

ポイントは「控除を最大限活用しながら課税対象となる退職所得を減らす」ことです。

今後の運用状況に加えて、将来的な税制改正もあり得ます。現時点で明確な判断はできませんが、事前に戦略を持っておくことは重要かなと思います。(時すでに遅し、ということになっては勿体無いですからね。)

ゆくゆくはサイドFIREを考えている方は、特に参考にしてみてください!

目次

確定拠出年金制度(iDeCo、企業型DC)の受け取り方と税金の仕組み

運用状況によるため、受け取り方は何がベストか?は一概には決めきれません。

とはいえ、制度や税金の仕組みを把握していないと戦略すら立てられないので、まずは基本的な内容を確認しておきましょう。(すでに知ってるという方は基本的な内容なので読み飛ばしていただいて大丈夫)

確定拠出年金の受け取り方は大きまかに3通りあり、それぞれで税金のかかり方も変わってきます。

  1. 一時金(退職所得控除を適用)として受け取る
  2. 年金(公的年金等控除を適用)として受け取る
  3. 1と2を併用して受け取る

一時金で受け取る(退職所得控除を適用)

60歳から70歳(サラリーマンである第2号被保険者の場合は75歳)の間に一時金として一括で受け取ります。

勤め先の退職金がある場合は、確定拠出年金も同じ年に受け取り、退職所得を計算、その退職所得に対して退職所得控除の税制優遇を適用した後、税額を算出します。

必ずしも退職金をもらう年と同じである必要はありませんが、後述する注意点の確認が必要。

計算方法は国税庁のサイト通りですが、

  • 勤続年数40年
  • 勤め先の退職金:1500万円
  • 確定拠出年金:1500万円

だった場合を例に計算してみます。

退職所得の計算

退職所得は、

(収入金額(源泉徴収される前の金額) - 退職所得控除額) × 1 / 2 = 退職所得の金額

と計算します。

今回の事例の場合、上記の収入金額は1500万円+1500万円=3000万円です。

退職所得控除額の計算

退職所得控除は以下の表の通り。

勤続年数(=A)退職所得控除額
20年以下40万円 × A
(80万円に満たない場合には、80万円)
20年超800万円 + 70万円 × (A – 20年)

A(勤続年数)=40年ですので、800万円+70万円×20年=2200万円。

課税対象となる退職所得金額は、(3000万円−2200万円)×1/2=400万円 となります。

税額の計算

所得税の計算方法と同じですが、別紙 退職所得の源泉徴収税額の速算表から算出できます。

退職所得の源泉徴収税額の速算表
課税退職所得金額(A)※所得税率(B)控除額(C)税額=((A)×(B)-(C))×102.1%
195万円以下5%0円((A)×5%)×102.1%
195万円を超え 330万円以下10%97,500円((A)×10%-97,500円)×102.1%
330万円を超え 695万円以下20%427,500円((A)×20%-427,500円)×102.1%
695万円を超え 900万円以下23%636,000円((A)×23%-636,000円)×102.1%
900万円を超え 1,800万円以下33%1,536,000円((A)×33%-1,536,000円)×102.1%
1,800万円を超え 4,000万円以下40%2,796,000円((A)×40%-2,796,000円)×102.1%
4,000万円超45%4,796,000円((A)×45%-4,796,000円)×102.1%

課税退職所得金額が400万円の場合は、

(400万円×20%-427500円)×102.1%=380322.5円

と、およそ38万円の税金がかかることがわかりました。

退職所得控除はかなり効果が大きいのは確かなので、この税金額を大きいとみるかどうかはありますが、もし運用が上手くいって確定拠出年金が3000万円になっていれば、課税所得は1250万円になり、

(1250万円×33%-1536000円)×102.1%=2643369円

と、260万円以上を税金として支払う必要が出てきます。

控除額を超えるとそれなりの税金がかかってくることがわかりますね。

年金で受け取る(公的年金等控除を適用)

まとまった一時金ではなく、年金(公的年金等控除を適用)として分割して受け取ることもできます。

受給期間は、5年以上20年以下の範囲で規約に定められており、運営管理機関によって決定されています。

年金のケースは細かいことを記載するとキリがないのですが、

  • 年齢が65歳未満では年金額130万円未満の場合の控除額が一律60万円
  • 65歳以上では、330万円未満の場合の控除額が一律110万円

この2点は押さえておきましょう。

基本的に、年金は65歳から受給開始となるので、300万円以下の確定拠出年金による所得を60歳から5年間に分けて受け取るなら課税は0円になります。

一方、

控除額を超えて課税される場合は、退職所得控除よりは税率が高くなる、ということを覚えておきましょう。

一時金と年金を併用して受け取る

一時金と年金は、それぞれを併用して受け取ることも可能です。

確定拠出年金の受け取り金額を最大化する方法3選

確定拠出年金の「受け取り時の税制優遇」の実態は「退職所得控除」などの税金控除の仕組みであり、その効果は大きなものであることがわかりました。

ただ、この記事では確定拠出年金が受け取り時にはそれなりの金額になるという想定(妄想)としています。

控除額を超えてしまう場合は、前述の通りそれなりの税金がかかってきます。

そこで退職所得控除をできる限り活用できるよう工夫します。

おさらいになりますが、退職所得金額や退職所得控除額の計算方法は以下のとおりです。

(収入金額(源泉徴収される前の金額) - 退職所得控除額) × 1 / 2 = 退職所得の金額

勤続年数(=A)退職所得控除額
20年以下40万円 × A
(80万円に満たない場合には、80万円)
20年超800万円 + 70万円 × (A – 20年)

ここから以下の3つの方法を戦略として考えることができます。

  • 2つの受け取り方法(一時金/年金)を併用する
  • 退職金の受け取りタイミングをずらす
  • 勤続年数を増やす

❶ 2つの受け取り方法(一時金/年金)を併用する

まずは、収入金額自体を下げるという方法です。

受け取り方を併用し、資産の一部を年金に配分することで一時金としての収入金額を下げます。

具体的には、

  • 退職所得が無くなるまでは退職所得控除を最大限使って受け取り、残りは運用しながら年金として受け取る。
  • 65歳までの5年間を非課税で年金として受け取るように残して、それ以外を一時金として受け取る。

というのが、とりあえずの選択肢になります。(最終的には退職金や年金、その時の市場次第だったりします。)

❷ 退職金と受け取りタイミングをずらす

次も収入金額自体を下げるという方法です。

冒頭ではあえて「退職金と確定拠出年金は同じ年に一緒にもらう」と説明したのですが、別の年に分けて収入を減らした上で、それぞれ退職所得控除を適用したら良いのでは?という考え方もできますよね。

これは実際その通りで、よく、60歳でiDeCoを受け取り、65歳で退職金を受け取る、という方法が紹介されているのを目にします。

ただ、65歳まで退職金をもらわずに働き続けられるか?はよく確認しておきましょう。

社会的な流れとしては、65歳や70歳へと雇用年齢が引き上げられていくことにはなりますが、1つの企業に勤め上げるということはほぼなく、転職や再雇用という形で働き続ける、ということになるでしょう。

となると、60歳やもっと手前で退職金を受け取る(受け取ってしまう)ことを想定した方が現実的かもしれません。

確定拠出年金やiDeCoはトータル40年近く運用を続けられますし、細切れ/先細りになる可能性がある勤め先の退職金よりも将来有望な資産になる可能性は高いです。

では、退職金を先にもらってiDeCoを後でもらうのが良さそうか?というと、そうもいきません。

注意点 受け取り時期をずらす場合は一定期間の間隔を空ける

というのも、退職所得控除は強力な仕組みのため、何度も使えるようにはなっていません。

退職所得控除には通称「5年ルール」というものがあり、退職金を受け取る前年以前4年以内にすでに別の退職金を受け取っていた場合、これらの勤続年数の重複期間は退職所得控除の年数に含まれません。

つまり、一度企業の退職金を受け取っていると、そこから5年経過しないと退職所得控除を最大限活用できず、支払う税金が大きくなってしまいます。

さらにこの「5年ルール」、確定拠出年金やiDeCoについては「19年ルール」になります。

退職金を先に受け取った場合、そこから確定拠出年金の受け取りを後ろ延ばしにしても、19年経たないと退職所得控除をフル活用できません。

❸ 勤続年数(積立期間)を増やす

3つ目は、退職所得控除を最大化する方法です。

退職所得控除は勤続年数で控除額が決まります。

企業の退職金の場合は、勤続年数になりますが、確定拠出年金やiDeCoの場合は積み立てた年数です。

20年を超えるとさらに優遇される割合が大きくなります。

とはいえ、5年ルールや19年ルールが存在しますので、これらの制約も踏まえた上で、受け取りタイミングを考えましょう。

まとめ

この記事では、確定拠出年金の受け取り方法や税金の仕組みを解説しました。

その仕組みの上で、受け取り時の金額を最大化するための方法を3つ紹介しました。

  • 2つの受け取り方法(一時金/年金)を併用する
  • 退職金の受け取りタイミングをずらす
  • 勤続年数(積立期間)を増やす

これまで紹介した仕組みを把握した上で、受け取り方法や受け取りタイミングをシミュレーションしておきましょう。

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