シンプルなライフスタイルやミニマリストを目指している方、また、日々の出費を抑えてお金を節約したい方にとって、『電子マネーによるキャッシュレス化』は有効な手段だと感じられるのでは無いでしょうか?
また、すでにキャッシュレスを生活に取り込んでいて、もはや当たり前のものとなっている方も多くいるのではないかと思います。
しかし!
ポイント還元など駆使して得している気でいても、実際にはお金が貯まっていない!
なんてことはないでしょうか?
キャッシュレス化はあくまで支払い手段の一つです。それ自体が目的となってしまうと、実は出費が嵩んでいるという事態に陥りやすいので注意が必要です。
今回は、キャッシュレスをどのように捉えるかという考え方を整理して、
キャッシュレス化を取り入れる際の注意点、上手な活用方法を考えてみたいと思います。
キャッシュレスとは?
まず、キャッシュレスとは何かを一言で言えば、
『紙幣や硬貨を使わずにクレジットカードや電子マネー・口座引き落し等で支払う(受け取る)こと』です。
QRコードを使ったスマートホンによって支払う〇〇ペイなんかも含まれます。
巷では、このキャッシュレスによるポイント還元キャンペーンラッシュになっていますし、ちょっとwebで検索してみればキャッシュレスがお得でオススメ!という記事が溢れていますね。
キャッシュレスのメリットは?
一般的に言われているメリットを整理すると、
- 支払いがラクになる
小銭の出し入れや現金が不足したらお金を下ろすといった行為が不要になります。 - 財布が軽くなる
小銭やお札を持ち歩かなくても良いので、かさ張る現金は少なくて済みます。 - お金の収支が電子的に記録、閲覧できる
収支状況をいつでも確認できるため、お金を管理しやすくなります。 - サービス特典が得られる
割引やポイント還元サービスにより実質的に支出を節約できます。
あたりでしょうか。
一見すると、メリットしかないように感じますね。
ミニマルなシンプルライフやスマートライフを目指す方、節約したい方は積極的に取り入れていることと思います。
しかし、節約した分(=割引やポイント)は、どこからやってくるのでしょうか?
ここが今回の重要なポイントです。
キャッシュレス化の目的を考えてみましょう。
まず、キャッシュレスの仕組みをざっくりと見ていきます。
現実の世界はかなり複雑ですので正確には表しきれませんが、
・国(日本)
・キャッシュレス決済事業者(クレジット会社など)
・お店(中小企業の店舗)
・ユーザ(消費者である私たち)
で成り立っています。
それぞれのキャッシュレス化の目的や狙いを考えてみたいと思います。
国(日本)がキャッシュレス化を推進する目的と狙い
キャッシュレス化は世界的に進展しています。
日本に状況はというと、むしろ遅れをとっているくらいです。
ですので、外国人観光客のインバウンド需要の取り込みのために、国としてもキャッシュレス化を促進していきたいという状況にあります。
経済産業省は、
『キャッシュレス決済比率を2025年までに4割程度、将来的には世界最高水準の80%を目指す。』
出典:キャッシュレスの現状及び意義 – 経済産業省
と言っていますね。
簡単に整理すると、
・海外からのインバウンドによる収益(税収)増
・事業者の生産性向上
・消費者の利便性向上
ということになります。
2019年10月1日の消費税10%増税にあたっては、消費者に最大5%が還元される「キャッシュレス・ポイント還元事業」(または「キャッシュレス・消費者還元事業」)を開始していますが、あくまでこれは消費税増税に伴う消費落ち込みに対するケアであって、キャッシュレス化自体の狙いではありません。
つまり、国としては消費者により多く消費してもらいたいということです。
キャッシュレス決済事業者の目的と狙い
キャッシュレス決済事業者とは、
クレジットカード会社や◯◯ペイなどを展開する企業のことです。
お店(中小企業の店舗など)にキャッシュレス決済を取り扱ってもらい、
ユーザ(消費者である私たち)がそのキャッシュレス手段で決済してもらうと手数料(支払額の1%とか)を受け取るという仕組みです。
キャッシュレス決済事業者にしてみれば、そのキャッシュレス方法を使ってもらえばもらうほど手数料が増えるので、より使ってもらえるようにポイント還元などのキャンペーンを展開しているということになります。
目的は自社の収益増です。
キャッシュレス拡大の狙いは、手数料だけではなく、自社のインフラ化?プラットフォーム化?による事業展開というのもあります。
いずれにしても、こちらも消費者により多く消費してほしいというスタンスに変わりはありません。
お店の目的と狙い
お店側(中小企業の店舗など)の目的は単純に集客と収益増です。
キャッシュレス対応を導入する狙いは、
・キャッシュレスに対応することで、集客効果を上げること
・また会計をスムーズにすることで生産性を上げる
当たり前ですが、お客さんである消費者により多く消費してもらいたいということです。
ユーザの目的と狙い
冒頭でも記載していますが、シンプルライフやミニマリスト、お得なポイント還元などもあり節約生活のために取り入れるわけですね。
つまり、
より豊かな生活になること目的として、
・利便性を高め生活をスマートにシンプルにすること
・割引やポイント付与などを活用して日々の支出を抑えられること
なんかが狙いと言えます。
結局お金はどこからやってくるのか?
もしも、
海外からのインバウンドで得た収入の一部が国民に還元されている、
とか
お店がキャッシュレス決済事業者に支払う手数料の一部がユーザに還元される、
ということであれば現金支払いよりキャッシュレスにした方が得ということが言えそうです。
つまり、他の誰かが負担してくれたお金が還元されるという考え方です。
ですが、この考え方は正しくはないようです。
なぜなら、
キャッシュレスによるインバウンド分のみに税金がかかることはありませんし、
例えば、QRコード決済のPayPayはお店側の手数料を無料としています。
ではどこの誰が負担しているのでしょうか?
厳密に紐解くことはおそらく不可能でしょう。
ただ言えることは、消費者による消費がなければ始まらないし、
消費によってもたらされる利益や税金、それが巡り巡って一部消費者に還元され、また消費を促すということです。
つまり、
他の誰かからではなく、自分の日々の支出そのものと捉えるのが賢明なのではないでしょうか。
どうすれば得なのか?
ポイントが多く貯まるというのは、それだけ多くの出費をしているとも言えます。
ポイントが貯まるからといって余計な買い物をしてしまってたら元も子もありませんが、既に貯まったポイントであったとしても余計な買い物をしてしまっていては、得した気分にはなるものの、キャッシュレスによって支出額は変わりません。
割引やポイント還元で得した分が一体いくらで、どれほど家計の足しになっているかを把握できるでしょうか?
支出に対するキャッシュレス化による効果が明確になるような仕組みがあれば
キャッシュレスの賢い利用ができるのではないでしょうか。
おすすめは定期購入への再投資か現金化
定期的に購入する分は、一定のポイントが貯まるのでそれを再購入に充てます。
そうすれば、定期購入品の支出額が年間を通してある程度の金額になっていることがわかるようになります。
または、還元率が多少悪くても現金化できるのであれば現金にし、貯蓄か投資にまわすというのも手です。
定期購入についてや我が家のケースについての詳細はまた記載したいと思います。